これなに?
これなに?
この写真は木版画の板と紙なのですが、扇子用の見当部分です。見当(けんとう)というのは、多色摺りの際に、何度摺っても絵がズレることがないようにほどこす印のことで、この印を基準に板に紙をあてて摺るのです。とっても重要なものなので『見当ノミ』という、それ専用の刃物まであるのでした。見当ノミは、えれーカッコイイ姿かたちをしています。
この見当、慣れれば(気合いは必要なれど)ちゃっちゃと出来るようになるのですけれど、扇子の見当は(あまりに複雑すぎて)私はつけることができない!扇のカーブしているところに直角に印を入れるのも、考えているうちに???となるし、紙にも切り込みを入れなくてはいけない(通常の場合は紙にはとくになにもしない。)のですが、これが恐ろしくて恐ろしくて、切り込みを入れようと思うと手がプルプルふるえて、集中力切れで「ふぃ〜」と息抜きしてのくり返しで時間がどんどんすぎてゆくのです。紙を深く切ってしまうと、扇子に仕立てた時に穴が空いてしまうし、浅く切ってしまうと、見当としての機能を果たさなくなるのです。ああ、おそろしや見当…。私は先生に見当をつけてもらう気満々なので、プルプル震えるくらい緊張したり「ふぃ〜」とか言っているのは、ただのシミュレーションなんですけれどね。