昨年末から同居人は毎月一,二度、実家へ帰っています。私もたまに同行。同居人の休日である週末を利用し帰省しているです。実質休みがなくなってしまうので、先月は帰宅後とうとうダウンしてしまった。愚痴も得意も言わず、態度にも出さず、いつもと変らず生活する同居人は本当にエライと思うし、同居人のそういうところは尊敬すべき美点だと思う。
私は掃除や洗濯が嫌いで、片づけも苦手で、苦手というより散らかっている方が落着くのだけど、料理や庭いじりや動植物の世話や、何か手を動かしていることは飽きることがないです。単純に好きってこと。そのあたりは父方の祖母の性質を受継いだと思う。祖母はとくに料理と裁縫は大好きだったと思う。祖母の生い立ちを考えると料理も裁縫も生きてゆくには必須だったと思うけど、そーいう事とはまったく関係なく大好きだったはず。そして掃除が嫌いだったです。掃除をしても『どこを掃除したのだろう??』と思ってしまうよーな掃除をする人だった。
私が小さい時(大きくなっても)は、私が身に着けるものといえば祖母お手製の服やカバン。身の回りのものは祖母ブランドが多かったです。草木染めも教えてくれた。料理も今考えるとたいへん贅沢な食事を作ってくれていたんだと思う。家で作った野菜や果物。市場で買う肉や魚。そして笑っちゃうことに祖母は死ぬまで化学調味料の使い方を知らない人だったです。季節ごとのおやつもなつかしい。水ようかん。ぜんざい。柏餅。年末には餅つきをし、その餅はさまざまに姿形を変え春まで食べたのです。
そんな祖母に育てられたはずの私の父は、たらことご飯があればいい人。ジャンクフード大好き。私や弟は祖母と母に半々で育てられた感じだけれど、弟はどちらかと言えば父の嗜好に似ていて、私はどちらかといえば祖母の嗜好に似ている。どちらが良いか悪いかではなく面白いものだなぁ、と思う。環境も大事かもしれないけど、環境がすべてではない。というのを見事に証明している。本人の資質っても大きいんだろうな。ちなみに弟は掃除が上手。実家の面々は全員米が大好きだけど、私だけは小さい時から米が好きじゃないしな。
話は戻るけど同居人は食べることが好き。私は作ることが好き。なので、うちではカメ飼育に次いで料理には時間を割いていると思います。ゴミ問題にうるさく、納得いかないものはすぐに「購買拒否してね」という同居人のおかげ?で、調味料はなるべくうちの家から近い会社の瓶詰め*1のものを使っているです。簡単な野菜は庭で作り、難しいものは近所の人*2に分けてもらったりもするです。もちろん買いもするけれど。なにか流行りのスローライフロハスを実践しているみたいだけど、しているつもりまったくなし。その思想に乗っかるつもりなし。
祖母が作っていた料理を思い出しつつ作ってみたり、知合いに作り方を聞いたりするのは大変たのしい。私はよくスーパーで話しかけられるのだけど、話かけてくれた人はたいてい料理が好きで作り方を教えてくれる。そして作ったものを「こーやって作ったのだ」と説明しながら、同居人と食べたり、実家に持って行ったり、伊藤さんにご馳走するのも面白いし、何かしら反応があるというのはいいものだなぁ。と思う。疲れている同居人がご飯を食べてチッとでも元気になるのであれば、それは喜ばしいことじゃないか。とたまに思うし。
私の母は料理が好きではないけど、私や弟が子供の時は頑張って色んなものを作ってくれたです。一時期は私と弟が起きるころには仕事に行き、寝るころに帰ってくる生活をしていたけれど、その時だってお弁当を作ってくれた。すごく頑張ってくれていたのです。この頃は「も〜どうでもええ」状態になってきて、でき合いのものを買うことが多いらしいので、私がマメに持って行ってやりたいと思う。のだけど・・・『ちょっと失敗したな〜』と感じたものに対しては容赦なく「今回はまずいね。食べられへん」などと言って、ほんとうに食べなかったりするのでビクビクします。持っていったとたん「どれどれ、味見してやろう」というのは母らしくてたいへん可愛いのだけどな。
結局のところ、私は誰かのために作る以上に作るという行為が好き。この前、伊藤さんに話して呆れられたけど、興味があったり、何度でも挑戦したい料理を作ることが目的。プロセスが重要だし好き。という気持ちが大半をしめているです。造形も木版画もそう。その延長で人が作っている姿を見るのも作り方を聞くのも好き。誰かが喜んで食べてくれるのは、そのプロセスを認めてくれたよーな気がして嬉しい。なんだかややこしいけど。

*1:瓶詰めしか製造していない会社というのは、本当に少なくて大手はまずないです。おのずと限られてくるし、そういうところは何かしらのこだわりがあって醤油やみりんなどを作っているので、味はありえんほど美味しかったりします。手間ひまがかかっているぶん値段も高い。内情を知ればその値段は妥当だと思う。余分なものが入っていないので身体にいい。らしいけど、うちでは身体にいいのが理由ではなく、ゴミ問題ありきで購買しているのです。へんな話、ゴミ問題を考えてたどり着いたところは身体にもいいらしい。という状態になっている。私も同居人も身体にいいかわるいかは問題でない。

*2:その方は一人暮らしなので、誰かと話すことが最大の楽しみ。