抱腹絶倒とは、腹をかかえて大笑いすること

米原万里さんはお母様の介護をし、そのお母様がお亡くなりになった時、ご自身の卵巣腫瘍が発見された。摘出はしたものの悪性。けっきょく1年と少しで再発。その時に選んだ道が化学療法は行わず食べ物に気を使ったり、身体を動かしたりといった生活だった。病院漬で苦しいのはイヤ、痛いのはイヤ!というような事を仰っていたと思う。
以上のことはべつだん隠すこともせず、著書のあとがきや新聞などで書かれていたこと。もちろんユーモアを盛り込んで。米原さんはこういう線引きをされたのだな、生き方を選んだのだな・・・納得いかない、いい薬も治療法もある。涙をながし、怒りに身体をブルブルと震わせながら訴えた知人もおられただろう。でもただただ受け入れるしかなかったのだろうな・・・・米原さんはご自分の命をまっとうされたのだと思います。
私は米原さんが癌の再発の告知をうけた直後に、彼女の講演会に行ったことがあります。微塵も感じさせない毒舌と快活なおしゃべりをされていた。再発のことなど知らなかった私は思いっきり笑って「あぁ、元気そうでよかった」と思っていた。のちに再発されていたと知り、胸をギュッとつかまれた気持ちになった。ご病気のことなど微塵も感じさせない態度を取られた米原さんが切ない。でもそれ以上に、ご自分の病気について切々と語る米原さんなど、うまく想像できないな。それに、やはり、あの時のお話は面白かった。
笑いを好んだ米原さんのお書きになるものは、どんなにシビアな内容でも笑いが盛り込まれていました。軽く切れ味の鋭い文章もあったけれど、米原さんの本領はズッシリと重い(ノコギリのように)切れ味鈍く、いつまでも心に残る文章であったと思う。

パンツの面目ふんどしの沽券

パンツの面目ふんどしの沽券

書評なども独特で、チョイスしている本自体が面白く笑えた。書評欄でヘンな(それでいてくそ真面目そうな)題名の本を見つけた時、「この書評を書いてるのは米原さんだね!ほら!評者・米原万里!!」と、同居人と笑いまくって(文章を読まずとも笑えるのだ、米原さんは!)書評を読み「やっぱり米原さんはすごいねぇ、くくくっ」とホトホト感心していた。
食いしん坊の米原さんにはあらゆるところで嫉妬もした。昼間にお一人でジャンムーランで食事をした方なのだ。伝説のジャンムーラン。私だってジャンムーランで食べるのが夢だったよ。(美木さんまた何かやってくれないかしら?フランス料理でもいいし、いっそのこと日本料理などでもいい。ま、ジャンムーランで育った方々が美味しい料理を作ってらっしゃるので、私はそれを楽しみます)
ヒトのオスは飼わないの?

ヒトのオスは飼わないの?

ヒトのオスは飼わなかった人であるけれど、オスどころかメスにも人気がある女王さま。それが米原さん。
私は淋しくて淋しくてしかたないけど・・・マーリチカ、さようなら。