土に生きるふるさとの味 第1集

土に生きるふるさとの味 第1集

この本は元々、自費出版されていた本です。
滋賀に住むばーちゃん(ばーちゃんとか書くのは失礼かもしれないけど、親しみを込めてばーちゃんと書きたい)の料理本なのだけれど、私は自費出版の第一集を持っています(写真の茶色いやつ)京都で購入しました。
写真など入っていなくて、文字ばっかりの内容なのと、へぇ!と思うことが書かれていることと、「これは作らへんけど読み物としておもしろいな」と思い購入したのだけれど、帰宅後じっくり読んだら、本当に読み物として面白く、まるで日記を読んでいるみたいです。
たとえば「鮒ずしの作り方」…こういうのも載っているんです、さすが滋賀のばーちゃん。(滋賀のばーちゃんだけど、奈良漬けの漬け方も載ってる)鮒ずしって塩漬けとか本漬けがあるってご存知ですか??本には与謝蕪村が詠んだ鮒ずしの俳句も掲載されてます。与謝蕪村の俳句ってほろっと笑えていいですねぇ。
ばぁさんの本

一人むふむふ楽しんでいた時に『自費出版なんだけど、滋賀のばーさんの料理本があって、すごく面白いですよ〜。京都で購入しました』というようなメールが友達から来て、ビックリ。
類は友を呼ぶのだ。と締めくくり、めでたし。めでたし。と書きたいところなのですが、この自費出版本は出版されて何十年も経っているロングセラーなのです。そんなロングセラー本を1ヵ月と違わない時期に、同じ店で私も友達も購入しているという不思議。ちなみに私は兵庫在住で友達は東京在住(店は京都)二人の話題にその本屋の名前があがったことは(たぶん)なし。ほかの本屋の話題はよくするんですけれども…。
「え〜私その本持ってますよ〜第一集。つい最近一目ぼれで買った」と返信したら、友達は第五集を購入したとのこと。第1集は季節ごとの料理のレシピが満載の本。第5集は保存食のレシピが満載の本。笑えたのが友達宅ではお漬物を食べない生活らしいのに、読み物として面白くて保存食の巻を買ったんだとか。
なんと奇遇な!とお互いビックリしていたと思ったら…あれよあれよという間に、ばーちゃんの本が出版社から出ることになりました。せっかくだから多くの人の目にとまるといいなぁ。これを機に第5集を読んだけれど、やっぱり面白い。なにが面白いって「これ作りたいな〜」「なるほどそうすればいいんだぁ」と思うものもあれば「これは作らないな!でも読んでいてべらぼーに楽しい」と思うものがある点。
上記の友達は近江八幡出身で、鮒ずし大好き人間なのだけれど「レシピを読んでいるだけで、食べたくて口の中に唾が出てくる」んだそーです。友達によると鮒ずしは「小さいころから食べる訓練」をするそうで、はじめは食べやすい部分から練習して、徐々に通の味を知ってゆくんだとか。そして一度味をしめたら…もう作り方を見ているだけでヨダレが…なんだそーです。文化的な食べ物だなぁ。
鮒ずしは作り方を見ているととても贅沢な食べ物なんですよね。鮒ずしが並んでいるということは、おもてなしの場だったりハレの場だったりと、鮒ずしが並んでいることが豪勢なことだったんだろうな…と思います。吉野出身の友達が「柿の葉寿司は家で作るから、それぞれの家で味がちゃうねんでー」と自家製の柿の葉寿司を食べさせてくれたことがあるけれど(今まで食べた中で一番私好みの味だった)鮒ずしもそうなんでしょうね。
出版担当したのは「鮒ずしの作り方を読んでるだけで口の中に唾が出てくる」人。私がばーちゃんばーちゃんと書いている、著者の村田さんは米寿を迎えた今もお元気に、地元でお料理を教えておられるそう。